大同小異の「親子神社」 一筋街道がつなぐ大義 横浜市瀬谷区本郷の旧鎌倉道沿いには、二つの神社が、少し離れて斜に向き合う格好で建ち並んでいる。一つは日枝社で、伊弉諾命(いざなぎのみこと/神奈川県神社庁表記)と伊弉冊命(いざなみのみこと/同)をご祭神とし、もう一つは神明社(お伊勢宮)で、天照大神(あまてらすおおみかみ)を祭っている。日本書紀を繰れば、それぞれのご祭神は親と子にあたることがわかる。
この関係からか、二つの神社の外観はとても類似している。
まず、構えともいえる入口には両社とも幟旗を立てるための石柱が対になって設けられている。この設置には明確な基準がないので、偶然にしては形や大きさ、石質などが似通っている。が、よく見ると、テコの代わりとなる横木を通すための穴は日枝社が外側、神明社は内側の支柱に開けられていることがわかる。鳥居は、日枝社が厳島神社に代表される明神系の両部鳥居で、神明社は靖国神社に代表される神明系の靖国鳥居だ。

日枝社

神明社
また、それぞれの拝殿正面左には神木とも呼べる木が植わっている。大木が同じ位置関係にそびえているという点に関しては類似性があるといえるだろう。日枝社がケヤキで神明社がイチョウだ。

ケヤキは樹齢300年以上で高さ40mを超えていて横浜市天然記念物、かながわの名木100選に指定されている。

イチョウの木の下には忠魂碑が立っている。碑は海老名国分寺の講堂礎石を台石としていて、西南の役から太平洋戦争までの戦死したこの地域の人々の名を刻んでいる。

確かに、この二つの神社の全体像は親子ほどに似ている。しかし、取り巻く環境や細部に至っては微妙に違う側面を持っている。人間の親子にも同じようなところがあるのかもしれない。
旧鎌倉道という血筋ともいうべき道(筋)でつながった親子神社は、これからも、存立の根拠ともいえるそれぞれの大切なものに寄り添いながら、きっと、大義では目指すところは同じであろう国家泰平のため、いつまでもたたずんでいることだろう。
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